月に一度 “謎の発作” に襲われていた私。AV女優引退後、症状は緩和されたのか?【神野藍】
神野藍「 私 を ほ ど く 」 〜 AV女優「渡辺まお」回顧録 〜連載第11回
【過去の自分の清算】
初めは、失ったものばかり数えていた。これまで何とも思っていなかったことでも、時間が経ってみると「ああ、やってしまったな」とか「あれはひどい出来事であったな」と感じてしまうことは多くある。二度と同じ形に戻らないものを記憶の中から探し当てては、バラバラに壊れてしまったことを悔やむばかりであった。人から見れば不毛な行為に見えるだろうし、私自身もそれは自覚していた。
しかし、人生の区切りを迎えた今に、これまで見て見ぬふりをしてきた都合の悪いものたちの精算をしないのならば、いつやるんだろうと考えていた。先送りにすれば、きっと今の自分は楽だろうけれど、また同じようなことを繰り返し、結果的に考えないといけないことは増えてしまう。だったら、今やった方が良い。それが私の出した結論であった。
そうして一年近く、過去の自分の清算を行った。自分の中で答えが見つからなければ、本や人の話からヒントを得て、納得いくまで考え込んだ。途中で何度か嫌になって放り出すこともあり、時間はかかってしまったが、あらかた片づけることはできた。
その過程が記されているのが、この「私をほどく」である。自分の過去について、一つ一つ見直して「これはこういうことだ」と答えを導き出すのはなかなか骨の折れる作業であったが、こうやって自分と真剣に向き合える時間を持てたのは幸せなことかもしれない。
次週からは、私が出した様々な結論について話していきたいと思う。
(第12回へつづく)
文:神野藍
※毎週金曜日、午前8時に配信予定